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※この物語はフィクションです

(前回・弐章序幕の最終節より)


三ノ国(みのくに)から脱出した(ワープした)忍者学校の生徒たち。
次に彼らを待ち受けていたのは……





【 弐章弐幕 プロローグ 】


…………


「おい!こら!何者だ!」

気がつくと草原のような場所…
声の聞こえる方を振り返ると不思議な女の子が立っていた。


『ここは…??』


「ここ? ここは、ネイバーランド。 君たちは子ども??」


『え?忍者学校の生徒ですが…』


… って、この人…羽根がついてる!?




【 プロローグ 弐 】


ネイバーランドは、子どもの国。


エバー村のピーターとホックは今日もチャンバラをしていた。


「今日こそ勝つぞ!」
「何を言うか!今日こそオレの勝利だ!」


ずーっと子どもでいられるというネイバーランド。


しかしこの時、二人はまだ知らなかった。この国に隠された秘密を…





【 壱 】


忍者学校の教師のますみは怒っていた。
飛んできた(ワープした)先が、元々いた忍者の里の「雲の国」ではなく「ネイバーランド」という場所だったからだ。


『三ノ国(みのくに)からワープして帰れるって話じゃなかったの?』


更に、目の前の「妖精」と名乗る女の子と話が全然かみ合わないことに、ますみは余計にイライラしていた。

『それで妖精さん。あなたのお名前は??』
「わたし? わたしは妖精の… ティンカー… スズキよ! 本名は鈴木ティンカー」


ますみは天を仰いでつぶやいた。
『妖精なのに… 鈴木…』





【 弐 】


ティンカーの話によると、
(1) 最近、ネイバーランドでは「悪い忍者」が出て、みんなを怖がらせているらしい。
(2) 「悪い忍者」って呼びづらいから、この国の人たちは「悪い忍者」を略して「ワニ」と呼んでいるらしい。
(3) でも、昨日、ティンカーが怪しいやつを捕まえたから、「もう大丈夫だと思う」らしい。


その話を聞いて、
『悪い忍者って、そんなに簡単に捕まるものかしら?』と、
ますみは不思議に思った。


「だったら、その怪しいやつ、見せてあげる!」 と、ティンカーが連れてきたのは…


アレ? この人、どっかで見たことある!


【 参 】


ティンカーが捕まえたのは、三ノ国(みのくに)で生徒たちがお世話になった「頭領」だった。
どうやら理由は分からないが、頭領も生徒たちと共にワープしてしまったようだ。


「いててて… ひどい目にあった。 しかし、困ったのぅ。」
『頭領でも、帰り方が分からないんですか!?』
「きっと、このネイバーランドでも、ワープする手段はあると思うんじゃが… わしら、この国の人たちから信用されとらん。 下手に動くとまた捕まるぞ。」


頭領と忍者学校の生徒たちは、この国の人たちにあいさつにいく振りをしながら、
元の国に帰る方法を探すことにした。



【 四 】


夕方、ネイバーランドでのあいさつ回りから帰ってきた生徒たち。
どうやら途中で謎のカードを手に入れたようだったが、まったく意味の分からない暗号?みたいなものだった。


「やぁやぁ! みなさん!さっきはどーも!」
声の主は、あいさつの途中で出会った少年。


「いや~うれしいよ!こんなにたくさん友だちが増えるなんてさ! まるで夢みたいだ! え?ボク? ボクはピーター・ブレッド! この国のヒーローで、君たちのある意味先輩さ!!」


なんとも、テンションの高い少年である。


『アレ? あのピーター? 先輩ってどういう意味??』
ますみが訊ねる。


「どういう意味? え? そのままの意味だよ! ボクも別の国から飛んできた人だからね~」


隣にいるティンカーも驚いている。
どうやらティンカーも知らなかったようだ。




【 五 】

その時である。


「ピーーターーブレッッドーーー!! 覚悟しろーーー!!」


謎の声と共に一人の少年が駆け込んできた!


「今日こそ決着をつけるぞっ!」

なんだかピーターはうれしそうだ。




【 六 】


突然の戦いの結果は引き分け。
「う~ん… ピーター、今日もなかなかやるな。これで… 」
「これで、7,321戦 7,321引き分けさ!」
「ハッハッハーー!さすがピーター!よく覚えてるな! それにしても最後の切り替えしは予想外だったよ!隠れて練習してただろー!」
「そうだよ。隠れて練習したのに止められちゃうんだもん!さすがはホックだよ!ハッハッハー!」


これは… ケンカ? 何??
とりあえず言えるのは、二人は仲が良さそうだということ。


ピーターに挑んだ少年の名まえは「ジェームス・ホック」 
夢は海賊の船長になることらしいが、いつまでも子どものままでいるというネイバーランドでは夢が叶うことはないらしい。こういうのを「ネイバージョーク」と言うんだとか。
ホックもピーター同様、忍者学校の生徒たちを大歓迎。
ピーターたちは「出会えた記念!友だちの記念!」として、生徒たちと遊びたいと言う。
さすがは、こどもの国。


【 七 】


日も暮れ、すっかり夜になった。


「いやー すごい楽しかった! こんなにたくさんの人と遊んだのはいつぶりかな… ネイバーランドに来る前の世界で遊んだぶりかも!」 と、ピーター。


ますみはさっきから気になっていたことを聞いてみた。
『ねぇ、ピーター。 ピーターは前にいた世界の人たちは心配してないのかな? おうちの人は心配してるんじゃない??』


「あ… うん。 いや! もうきっと忘れてるさ! さっきも言ったろ?ボクがここに来たのはずいぶん昔の話なんだ! なぁ、ホック?」
「え? あ、うん。そーだな。 オレが飛んできて、それから…ちょっとたってからだったからね。」


この話を聞いて一番驚いているのはティンカー。
「えぇぇ~~! ホックも別の世界から来た人だったの!?」




【 八 】


皆の仲が良くなったところで頭領が切り出した。
「あの、ところでなんじゃが、わしらはこのネイバーランドにずっといる訳にいかん。 なんとかして元の世界に帰る方法を探さないといけないんじゃが…  何か知らんかの?」

何も知らなさそうなピーターとホックをよそに、
ティンカーは、気まずそうに話し出した。
「う~ん… 元の世界に帰る方法… まぁ、あるっちゃあるけれど…」

驚くピーターとホック。 どうやら、二人はもう二度と帰れないと思っていたらしい。
ピーターは帰れる方法があることを知って喜んだ。

ティンカーの話によると、
(1) この国には伝説の宝箱があって、その中に入っている「ボタン」を押すと、「その周りにいる人」がワープ出来るらしい。
(2) 伝説の宝箱にはカギがかかっているらしい。
(3) 宝箱は、カギがあったとしても世界と月の重力の関係?の魔法で、10年に1回周期ぐらいでしか開けれないらしい。
(4) 宝箱の中の「ボタン」は、元々ネイバーランドに住んでる人が押しても意味はないらしい。(別の世界から来た人しか押せないらしい)
(5) 「ボタン」を押したら「その周りにいる人」がワープ出来るけれど、「押した人」はワープ出来ないらしい。


その話を聞いて、すぐ意味を理解した頭領と、よく分かっていない他の人たち。

頭領は自分たちが帰るためにやらなきゃいけないことを説明しだした。
① 伝説の宝箱をさがす
② カギを探す
③ 10年に1回タイミングがいつか調べる

そして…
④ 「ボタン」を押せるのは、忍者学校の生徒たち頭領ピーターホック。 誰が押すか決めないといけない(だけど、押した人だけは、元の世界に帰れない)  


【 九 】

ここまで説明を聞いてようやく分かってきたメンバーたち。
「しかし… 誰がボタンを押すか… 決めとかないといけないのぅ…」

沈黙が流れる…

「 …あのさ、オレ、ボタン押してもいいよ。」 
口を開いたのはホックだ。

「え? ホック、帰りたくないの??」
「うん。 オレ、元の世界ではあまり良い思い出がなくて、ずっーとココにいたいと思っていたんだ。 それに…オレら二人ともいなくなったらティンカーが悲しむだろ?」

「ホック… 本当にいいの?」
「やめてくれよ! オレは、ふつーーに、か・え・り・た・く・な・い・の!!」

「うん… ま、まぁ、なににしても、まず、宝箱カギタイミングを探さないとじゃな!」
頭領が話をムリヤリ変えた。

その後皆で相談し、翌朝から手分けして「帰るため大作戦」の調査をすることとなった。


【 壱〇 】

翌朝から忍者学校生徒総出で大調査が始まった。

夜の調査報告会。
手分けして探した結果、なんと宝箱カギが見つかった。

「やっべーー! これが伝説の宝箱のカギ?? すごいよホック! そっそく開けてみよう!!」
「うん、そうだね。」

ピーターが宝箱を開けようとするが…  開かない。
「アレ??」

「だから~ 月の重力の関係でタイミングがあるって言ったでしょ?」と、ティンカー。

なるほど。そうだった。
手元に残っている、生徒たちが見つけてきた謎のカードの暗号を解いていくと…

「ふむふむ… つまり… ネイバー198年5月5日の14:10~14:40の間の30分間ということじゃな。」
『え!ちょっと待ってください頭領! それって明日じゃないですか!!』

「ヒャッホーー!!マジで!! すごい奇跡だ!明日なの!?」
「ずいぶん急な話でビックリじゃが、そういうことになる。」

「えぇ~ そーなると、今夜がピーターと過ごせる最後の夜になるの? こんな早いなんて…
 …ううん、でもいいの。 ピーターが喜ぶならわたし、いいわ。」
ティンカーは少し悲しげだ。

「そうか… じゃ、わしらもこの国での最後の夜ということになる。 そうだ、最後の夜にお礼を込めて、わしのいた三ノ国に伝わる山の宴をしようではないか!」


【 壱壱 】

「なんとも良き夜じゃ!」
「本当にすごい楽しかったよー! 忍者のみんな、本当に来てくれてありがとう! ねーねー!あのさ! ボク、ちょっと帰るための準備してきてもいいかな?」

「お~、そうじゃったな。 急じゃったからな。そうした方が良いじゃろう。」
「うん! じゃあ、ちょっと行ってくる。 じゃ、みんなまた明日! …おっといけない!ボク、なくしちゃうといけないから…ホック! 宝箱のカギ、持っててよ!」

ピーターはホックに伝説の宝箱のカギを渡して、片づけを手伝ってくれるという忍者のますみと一緒に自分の家に向かって行った。


【 壱弐 】

……

「ねぇ… ねぇ! ホック!」
カギを見つめるホックに声をかけるティンカー。

「ホック…  あなた、本当は帰りたいんじゃないの?」
「そんなことはない!」

「だって… あなた、昨日の夜から様子がおかしいわ。」
「オレに… オレに帰る場所なんてないんだ。 帰ったって誰も待ってない…」

「おうちの人は? 待ってるでしょ?」
「それは… いや、でも、オレはいつも怒られてばっかだったし… あの家にオレはいない方がいいんだ!」

「ホック… 」
「いいんだ。 だって、そうだろ? 誰かがボタンを押さなきゃダメなんだから。 オレが…やるよ。」


頭領は何とも言い難い気持ちで二人を見ていた。
(自分が残った方が良いのでは…) そう、自分自身に問いかけていたが、それがこの国の人々や彼らにとって本当に良い答えなのか… 頭領にも分からなかった。

……


【 壱参 】

本来なら、気配を感じるのが得意な頭領。

が、気づいた時、すでに近くに忍び寄っていた。
この国にとって招かざる客…

「むっ! なにやつ!!」
「ほう。 こんなところにいたか、キジのおっさん! この子忍者どもと一緒にいたとはな!」

「頭領… 誰なの? この人…」
怯えるティンカー。

「ティンカー、逃げる用意を。 こいつは・・・悪い忍者だ…」
「聞こえているぞ。 どこへ逃げようというんだ? 今、ここには老いぼれのおまえと子どもたちしかいないじゃないか。」

「なんだとー! おい!ワニ! このホック様がやっつけてやる!」
「このクソガキがー! いいか!この子忍者どもが次の世界に飛ばれては困るんだ! そのカギをよこせー!」


悪い忍者がホックに襲いかかる。 
頭領が間一髪、二人の間に入ってホックを守り、次の瞬間ホックを後ろに突き飛ばし敵と対峙した。

「この老いぼれがー!」
敵の攻撃を二発かわすが、三発目が避けきれずに吹き飛ばされた。

「逃げなさい!!」 
頭領の声が聞こえたと同時くらいの時、ホックはすでに悪い忍者に切りかかっていた。

が、敵には簡単にかわされ、逆に吹き飛ばされる。
何度も蹴られた末、胸ぐらをつかまれた。
「このクソガキ! カギをよこせ!」

「いやだ!!いやだ!! このカギはピーターが帰るためのカギ!いやだーーー!!」


【 壱四 】

その時だった。

パッと灯りが消え、風の通り抜ける気配…  そして、鈴の音が鳴り響く…


「ここにいたんだね! 頭領! みんな! 助けに来たよ!」

振り向いた先には、未来の武器を持った「たけちゃん」がいた。

「いくぞーー!」
光輝く不思議なサーベルで悪い忍者に立ち向っていくたけちゃん。 敵は見た事の無い武器になんとかかわすので精一杯。

「えいっ! やー!」

「こ、この野郎! 変な術を使いやがる! てめぇら!覚えておけよ!」
防戦一方の敵はそう言うと、暗闇の中に消えていった。


【 壱五 】

「これでひとまず大丈夫!っと! よっ!」
灯りがついた。

「た、たけちゃん! どうして… 」
「やぁ、頭領! 本当にいたよ~ みんなの言ったとおりだ~」

「え?言ったとおり?? はっ!それより、ホック!大丈夫か!!」

「大変!意識はあるみたいだけど… わたしが看病するわ! えいっ! 頭領もケガしてるから!行くわよ!」
妖精のステッキを振るティンカー。

「ホック!がんばって! 救護所までがんばって!」
ホックと頭領、たけちゃんはティンカーと共に救護所に向かったのだった。



【 壱六 】

翌朝…
ホックは、右腕が包帯になったものの元気な姿を見せた。
頭領については、元々ある腰痛がちょっと悪化した程度で済んでいた。

一番元気がなく落ち込んでいたのは、ピーター。

「なんだよ!元気ないなーー! 今日、帰れるんだから! それまで、みんなで集まってて戦いに備えてればいいんだよ!」 と、元気なホック。

ピーターの暗い雰囲気にティンカーもあわてて話をもりあげようとする。
「そ、そうよ! みんなもいるんだから大丈夫よ! ところで…昨日は助けていただいて… たけちゃん? で、いいのかしら?あなたは一体?」

「あ、ぼく?? ……」
たけちゃんによると、三ノ国でみんなを見送った後、頭領もいなくなってるから大騒ぎ。
どこを探してもいないから、一緒にワープしてしまったんだろう。ってことになって、桃太に伝説の剣を使わせてハオッチと二人で、頭領を探しに異次元の旅に出たらしい。
全然違う世界に3ケ所行ったんだけど、2ケ所目のところで、ハオッチとケンカになって、一人でワープしてきたらしい。

LinkIconたけちゃんたちについてはコチラ

「いやはや、わしのために迷惑かけたな。 申し訳ない。」
頭領は頭をポリポリ。
「うん、でも会えてよかったよ~ あのね、みんなのワープの寸前までボクもいれるから一緒にカギを守るよ~」


【 壱七 】

ワープの時間までカギを守るため、
ティンカーの友だちのジェニファーちゃんの呼びかけにより、ネイバーランドの住人は皆集まっていた。

また、いつ来てもいいようにみんなで剣術の練習もして備えたが、悪い忍者が現れることはなかった。


【 壱八 】

……

最後の時間が近づいていた。

「もう大丈夫そうだね! ぼくの一人用の瞬間移動装置は、みんながワープすると磁場が崩れちゃうから飛べなくなっちゃうんだ! 頭領、先に戻ってるね!」 
たけちゃんはそう言い残し一歩先にワープしていった。

たけちゃんを見送り一息ついた頭領が口を開いた。
「さて… ピーター、カギを。」

ピーターが伝説の宝箱のカギに手をかける。

カチャっと心地の良い音が鳴り響いた。

宝箱を開け、中のボタンを見つけたピーター。
それを見つめるホック。


「ホック、ほんとうにいいの? 本当はかえ…」
「なーに言ってるんだピーター! 今までありがとうな!楽しかったよ! ちょっとケガしてるからさ、そのボタン、こっちまで持ってきてもらってもいいかな?」
「ホック…… 」


【 壱九 】

「むっっ!! まずい!! いそげ!」
いち早く気づいたのは、気配を感じるのが得意な頭領。 しかし…

「ハッハッハーー! あのおかしな術を使う犬コロがいなくなるのを待っていたんだ! そのボタンよこせー!」

「おまえだなっ!! ホックをこんな目にあわせたのは!!」
ピーターはキレている。

「イカン!」
頭領が叫んだ時、ピーターは悪い忍者に向っていた。 しかし、ピーターの剣は敵にはじかれ飛ばされてしまう。
間髪入れず頭領が敵に立ち向かうが振り向いた敵に投げ飛ばされ、追い打ちの蹴りが入る。

「どうしたらいいの!」 叫ぶティンカーの声は届かない。

立ち上がったピーターは飛ぶように切りかかるがこれも弾かれ、敵のパンチが入る。

悪い忍者は、立ち上がれないピーターと頭領を尻目にゆっくりと宝箱を視界に入れるが、宝箱の前に包帯姿のホック…

「おい!そこのケガ人! その宝箱の中のボタンをよこせ!」
「ピーターは… ピーターは元の世界に帰らなきゃいけないんだー! この宝箱のボタンは絶対に渡さない!!」

「おまえ、そのケガで何を言っている? とっとと渡せ、海賊小僧! んぁ?違うな。子どものおまえには海賊にもなれない! ふぁはっはっはーー!!」

……


【 弐〇 】

ホックが腕の包帯に手をかけた

「オレは… オレの名は… 」
スルリと落ちた包帯の下から出てきた腕には… カギ爪!

カギ爪を高らかに掲げ、海賊は吠える
「キャプテーーン! ホックーーー!!」


「ピーターは! ピーターは! オレが絶対元の世界に戻すっ!! うぉぉーー!!」


ホックが瞬間的に間合いを詰め、カギ爪で攻撃! なんとか刀でかわす敵。 何度も刀とカギ爪の金属音が響き渡る。 敵はホックがバランスを崩したスキに下から刀を切り上げるが、ホックは背中をそらしてなんとか避ける。

お互いにらみ合いながら半時計廻りで旋回。 ちょっとでもスキを見せたら一気に勝負がつきそうだ。

飛びかかったホックの連続攻撃の後の一撃はあと少しのところで避けられ、腕ごと取られてしまう。 敵はホックのケガをしている腕を執拗にヒザ蹴りで攻撃! 頭突きをしてなんとか敵から逃れたホックはひるむことなく立ち向かう。

「ホック!お願い!がんばって!!」 ティンカーは叫ぶ。


「これで決着をつけてやる!! うぉおおーーーーー!!!」

二人が交錯。 時間が止まる。


バサっ…


……


【 弐壱 】

倒れたのは、悪い忍者だった。
… しかし、まだ動いている!

ティンカーは近くにあった網を取って 「動けないようにしないと!」 と、あせっている。

網を受け取ったホックは、急いで頭領と網で敵を抑えにかかるが今にも動き出しそうだ!

ホックは叫ぶ!
「ピーター! 時間がない! 今のうちに! 網で捕まえているうちにボタンを押してしまおう!! ピーター!!網を持つのを代わってくれ!!」



動かないピーター

「ピーターー! 何やってるんだ!! 早く! 早くボタンを押さないと、君が帰れないっ!!」




【 弐弐 】

ホック… 今までありがとう。   ホック、君はやっぱり帰りたいんだろう?

ピ、ピーター??


ボクは! ボクは! 君が海賊になる夢をあきらめてほしくない!!
帰るのは!   … 君だっ!!


ピーターは宝箱の中のボタンを押した…


【 終 】


突然鈴の音が鳴り響く。 
消えるように透明になっていく頭領と忍者学校の生徒たち …そして、ホック

「なんで… なんで…」
ホックは泣いていた。

ピーターはいつものように明るい声で、はしゃいだ
「これはスゴイ!! 本当に消えていく!! 」

涙目のホック…
「…ピーター  なんてやつだ… 君は、 君は、 オレのヒーローだ!! ありがとう。ありがとう。」

「こちらこそありがとうだ! ホック!ちゃんと戻って海賊になれよ! それと、忍者のみんな、来てくれて本当にありがとう! 君たちはボクの友だちさ!」

友だちのためにワニと戦い「ネバーランド」からいなくなったカギ爪の海賊。
そして、ネバーランドでは、今日も少年と妖精が自由に飛び回っておりました。 この物語は、その後伝説となって語り継がれていく少年のお話。 その少年の名は…… 


――――――――――


無事、ネイバーランドから脱出した忍者学校の生徒たち。次に彼らを待ち受けていたのは…